育成就労で受入れ企業がいま準備すべきこと ― 2027年4月施行、まず「対象分野」と「転籍」から
– 技能実習に代わる「育成就労」制度は、2027年(令和9年)4月1日に施行されます。「国際貢献」という建前をやめ、「人手不足分野での人材確保と人材育成」を正面から目的に掲げる制度です。タイ人材の受け入れ企業にとっても対応は同じです。 – 受入れ企業にとって影響が大きい変更は2つあります。ひとつは、受け入れられる職種が「特定技能の分野」に絞られること。もうひとつは、本人の希望による転籍が認められることです。 – 準備の年は2026年になります。育成就労計画の認定申請は2026年9月1日に受付が始まり、技能実習ルートを使う場合、管理組合の新規許可申請は2026年9月30日が期限です。 ## まず「対象分野」を確認する ― 技能実習より受け入れの間口が狭くなる 技能実習では、これまで94職種・171作業と幅広い仕事が対象として認められてきました。ところが育成就労は、受け入れられる分野を特定技能の分野に原則そろえる設計になっています。特定技能は2027年に3分野(リネンサプライ、物流倉庫、資源循環)が加わって19分野になりますが、育成就労はそこから「航空」「自動車運送業」を除いた17分野が対象になる見込みです。 つまり、いま技能実習で受け入れている職種が、育成就労では対象から外れる可能性があります。技能実習にはあって特定技能にはない作業が該当します。 **やるべきこと**:自社の受け入れ職種が17分野とその業務区分に含まれるかを、分野別運用方針の「育成就労産業分野・業務区分一覧」でご確認ください。外れる場合は、技能実習の経過措置を使えるか、別の受け入れ手段に切り替えるかを早めに検討しておきましょう。 ## 「転籍」に備える ― 定着が経営課題になる 技能実習では、実習生は原則として途中で勤務先を変えられませんでした。育成就労では、一定の就労期間を満たし、分野ごとに定められた技能と日本語の水準に達していれば、本人の希望で同じ分野の別の会社へ移ることができます。転籍を受け入れた企業が、前の企業が育成にかけた費用の一部を「補填金」として負担する仕組みも設けられます。 裏を返せば、賃金・住環境・支援体制・キャリアパスが弱い受入れ先からは、人材が流出し得るということです。制度への事務対応と並行して、「働き続けたい」と思ってもらえる職場づくりが避けて通れなくなります。 本人の意向による転籍が認められる主な条件は、①転籍制限期間(分野により1〜2年。企業の判断で1年に短縮できます)を超えていること、②分野別運用方針が定める水準の技能と日本語を身につけていること、③転籍先が優良認定を受けた企業であること、④転籍者が受入れ総数の3分の1以下であること、などです。 **やるべきこと**:賃金水準、住環境、生活支援、特定技能1号への移行支援を点検し、他社と比べて見劣りしないかをご確認ください。 ## 現行の管理組合と打ち合わせる ― 「監理支援機関」への移行を確認する 管理組合は、許可制の「監理支援機関」に移行します。新たな許可要件として、外部監査人の設置の義務化、債務超過でないこと、2者以上の企業を監理すること、常勤職員2名以上、などが加わります。現行お付き合いのある管理組合と綿密な打ち合わせをしてください。 **やるべきこと**:現在の管理組合に、監理支援機関の許可取得の見込みや、移行に向けた準備状況をご確認ください。許可申請の受付は、2026年4月15日に始まっています。 ## 日本語と社内体制を早めに整える ― 「3年で特定技能1号」を前提に 育成就労は、3年の就労を通じて特定技能1号の水準まで育てることを想定した制度です。入国の時点での日本語要件はありませんが、就労を始める前までに、日本語能力A1相当以上の試験に合格するか、認定日本語教育機関でA1相当の講習を100時間以上受ける必要があります。さらに特定技能1号へ移行するには、技能試験(技能検定3級等または特定技能1号評価試験)と、日本語A2相当以上の試験に合格しなければなりません。受入れ企業には、このA2相当の講習を100時間以上提供する義務が課されます。 加えて、育成就労責任者・指導員・生活相談員には、過去3年以内に養成講習を修了していることが求められます。 **やるべきこと**:入国前研修 → 入国後講習 → 現場でのOJTを、A1からA2、その先のN3へと一本の線でつながるように設計しておきましょう。どの区間を送出し機関・監理支援機関・自社が担うかを決め、担当者の養成講習の受講計画も立てておくことをお勧めします。 ## […]

