育成就労とタイの送出し実務 ― 日タイ協力覚書で決まった「認定送出機関」と費用のルール

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2027年から始まる育成就労制度に関して、日本とタイの両国間での取り決め事項や、協定の経過をまとめてみました。  **リード**– 育成就労では、タイ労働省が認定した送出機関を通じた人材しか受け入れられません。日本とタイは2026年6月、そのための協力覚書を作成しました。育成就労で覚書を結んだのはタイが最初です。- タイの認定送出機関リストはすでに公表されており、2026年9月2日更新版では65機関が載っています。  → [育成就労制度 タイ認定送出し機関一覧](https://www.otit.go.jp/upload/docs/260902_THA_ESD.pdf)  (注)人財タイランドはリスト上の13番目に記載されています。- 受入れ側が確認すべき点は、取引先がリストに載っているか、費用が月給2か月分以内に収まっているか、の2つです。  ## 日タイの協力覚書で何が決まったか育成就労に関する協力覚書は、タイ労働省が2026年5月20日、日本側(法務省・外務省・厚生労働省・警察庁)が6月2日に署名しました。有効期間は5年で、自動で延長されます。育成就労での二国間覚書はタイが初めてです。役割分担ははっきりしています。タイ労働省は雇用局の海外雇用管理課を窓口として送出機関を審査・認定し、認定後も指導を続け、基準を満たさなくなれば認定を取り消します。日本側は、認定送出機関以外から送り出された人材を受け入れません。認定や許可を取り消したときは、互いに相手国へ通知します。タイ側が責務を果たさず、協議でも解決しない場合には、日本側が受入れを一時停止できるという条項もあります。  *育成就労でのタイからの送出しルート   ## 認定送出機関リストはすでに公表済み外国人技能実習機構(OTIT)は、タイの認定送出機関リスト(育成就労)を掲載しています。2026年9月2日更新版には、タイ労働省雇用局を含めて65機関が載っています。正式なリストが出たのは、ウズベキスタン・ラオス・スリランカと並ぶ4か国だけで、インドネシアやベトナムはまだ暫定リストの段階です。監理支援機関の許可は、相手国から正式なリストが提出された後に出る仕組みです。タイはリストの提出が済んでいるため、タイからの受入れ準備は他国より一歩先に進められる状況です。なお、技能実習の認定送出機関リストとは別のリストです。いま取引している送出機関が育成就労のリストにも載っているか、一度ご確認ください。  ## 認定の基準 ― 費用とブローカー対策覚書の別添には、タイの送出機関の認定基準が11項目並んでいます。受入れ側に関係の深いものは次のとおりです。- 本人や家族から受け取る費用は、育成就労計画に書かれた月給の2か月分まで- 費用の算定基準をウェブサイトなどで公開し、本人と監理支援機関に説明する- 保証金名目で本人や家族のお金を管理したり、違約金を定めた契約を結んだりしていない- 仲介者(ブローカー)が本人から費用を取ることを許していない- タイの公的書類で、一定の犯罪歴がないことを確認してから送り出す費用が2か月分を超える場合、超えた分は受入れ企業または監理支援機関が負担することになります。  *タイの認定送出機関に求められる主な基準   ## 受入れ側の実務で変わること日程面で気をつけたいのは2点です。ひとつは、労働契約を結ぶ前に、雇用条件を対面かオンラインで本人に説明することが覚書に明記された点です注1。面接や内定の段取りに、この説明の場を組み込んでおく必要があります。もうひとつは、犯罪歴の公的書類です。取得にかかる日数を見込んで、出国までのスケジュールを組むと安心です。費用の内訳や説明の進め方は、送出機関と監理支援機関の間で決まる部分が大きくなります。受入れ企業側で準備しておくべきことは[参考記事:育成就労で受入れ企業がいま準備すべきこと]にまとめています。あわせて、現在お付き合いのある管理組合とよく打ち合わせておくことをお勧めします。  ## 人財タイランド/人財キャンパスの取り組み人財タイランド(JINZAI RECRUITMENT (THAILAND) CO., LTD.)は、タイ労働省の認定送出機関として、OTITの育成就労リストに掲載されています。ウドンタニの日本語学校人財キャンパス[参考記事:2026-09-16_人財キャンパスとは_日本人責任者が要望に直接応える体制]では、日本での実務経験が豊富な日本人責任者が、管理組合・受入れ企業のご要望を入国前教育に反映しています。費用の内訳や雇用条件の説明の進め方についても、管理組合と相談しながら育成就労のルールに沿って整えてまいります。  ## お問い合わせ育成就労でのタイ人材の受入れ、送出しの手続きや費用についてのご相談は、人財タイランド(JINZAI RECRUITMENT (THAILAND) CO., LTD.)へお問い合わせください。(お問い合わせページへ)

育成就労で受入れ企業がいま準備すべきこと ― 2027年4月施行、まず「対象分野」と「転籍」から

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– 技能実習に代わる「育成就労」制度は、2027年(令和9年)4月1日に施行されます。「国際貢献」という建前をやめ、「人手不足分野での人材確保と人材育成」を正面から目的に掲げる制度です。タイ人材の受け入れ企業にとっても対応は同じです。 – 受入れ企業にとって影響が大きい変更は2つあります。ひとつは、受け入れられる職種が「特定技能の分野」に絞られること。もうひとつは、本人の希望による転籍が認められることです。 – 準備の年は2026年になります。育成就労計画の認定申請は2026年9月1日に受付が始まり、技能実習ルートを使う場合、管理組合の新規許可申請は2026年9月30日が期限です。   ## まず「対象分野」を確認する ― 技能実習より受け入れの間口が狭くなる   技能実習では、これまで94職種・171作業と幅広い仕事が対象として認められてきました。ところが育成就労は、受け入れられる分野を特定技能の分野に原則そろえる設計になっています。特定技能は2027年に3分野(リネンサプライ、物流倉庫、資源循環)が加わって19分野になりますが、育成就労はそこから「航空」「自動車運送業」を除いた17分野が対象になる見込みです。 つまり、いま技能実習で受け入れている職種が、育成就労では対象から外れる可能性があります。技能実習にはあって特定技能にはない作業が該当します。   **やるべきこと**:自社の受け入れ職種が17分野とその業務区分に含まれるかを、分野別運用方針の「育成就労産業分野・業務区分一覧」でご確認ください。外れる場合は、技能実習の経過措置を使えるか、別の受け入れ手段に切り替えるかを早めに検討しておきましょう。   ## 「転籍」に備える ― 定着が経営課題になる   技能実習では、実習生は原則として途中で勤務先を変えられませんでした。育成就労では、一定の就労期間を満たし、分野ごとに定められた技能と日本語の水準に達していれば、本人の希望で同じ分野の別の会社へ移ることができます。転籍を受け入れた企業が、前の企業が育成にかけた費用の一部を「補填金」として負担する仕組みも設けられます。   裏を返せば、賃金・住環境・支援体制・キャリアパスが弱い受入れ先からは、人材が流出し得るということです。制度への事務対応と並行して、「働き続けたい」と思ってもらえる職場づくりが避けて通れなくなります。   本人の意向による転籍が認められる主な条件は、①転籍制限期間(分野により1〜2年。企業の判断で1年に短縮できます)を超えていること、②分野別運用方針が定める水準の技能と日本語を身につけていること、③転籍先が優良認定を受けた企業であること、④転籍者が受入れ総数の3分の1以下であること、などです。   **やるべきこと**:賃金水準、住環境、生活支援、特定技能1号への移行支援を点検し、他社と比べて見劣りしないかをご確認ください。   ## 現行の管理組合と打ち合わせる ― 「監理支援機関」への移行を確認する   管理組合は、許可制の「監理支援機関」に移行します。新たな許可要件として、外部監査人の設置の義務化、債務超過でないこと、2者以上の企業を監理すること、常勤職員2名以上、などが加わります。現行お付き合いのある管理組合と綿密な打ち合わせをしてください。   **やるべきこと**:現在の管理組合に、監理支援機関の許可取得の見込みや、移行に向けた準備状況をご確認ください。許可申請の受付は、2026年4月15日に始まっています。   ## 日本語と社内体制を早めに整える ― 「3年で特定技能1号」を前提に   育成就労は、3年の就労を通じて特定技能1号の水準まで育てることを想定した制度です。入国の時点での日本語要件はありませんが、就労を始める前までに、日本語能力A1相当以上の試験に合格するか、認定日本語教育機関でA1相当の講習を100時間以上受ける必要があります。さらに特定技能1号へ移行するには、技能試験(技能検定3級等または特定技能1号評価試験)と、日本語A2相当以上の試験に合格しなければなりません。受入れ企業には、このA2相当の講習を100時間以上提供する義務が課されます。   加えて、育成就労責任者・指導員・生活相談員には、過去3年以内に養成講習を修了していることが求められます。   **やるべきこと**:入国前研修 → 入国後講習 → 現場でのOJTを、A1からA2、その先のN3へと一本の線でつながるように設計しておきましょう。どの区間を送出し機関・監理支援機関・自社が担うかを決め、担当者の養成講習の受講計画も立てておくことをお勧めします。   ## […]