タイ、入国規制ほぼ撤廃 ワクチン接種済みなら検査不要 新型コロナ

タイ政府は22日、新型コロナウイルス対策の入国規制を5月1日から緩和する方針を決めた。ワクチン接種完了済みの旅行者は、タイ到着時のPCR検査と待機を不要とする。未接種でも渡航前の検査で陰性を証明できれば、隔離措置を免除する。入国規制をほぼ撤廃し、外国人観光客の受け入れ拡大につなげる。

近く官報で公示して正式決定する。米ファイザーや米モデルナ、英アストラゼネカなどのワクチンを2回以上接種していれば、入国時の検査と待機を免除する。米ジョンソン・エンド・ジョンソンは1回で認める。

これまで接種完了済みでも、入国時にPCR検査を受け、結果が出るまでホテルで待機する必要があった。5月からは旅行者に自主的な抗原検査の実施を求める方式に改める。旅行者に加入を求めている医療保険の補償額は現在の2万ドル(約255万円)以上から、同1万ドル以上に減額する。

規定回数のワクチンを接種しておらず、渡航前の検査で陰性を証明できない旅行者には、ホテルで5日間の隔離を義務づける。滞在4日目か5日目にPCR検査を実施する。

タイは新型コロナの感染が広がる前の2019年に約4000万人の外国人旅行者が訪れ、観光関連産業は国内総生産(GDP)の約2割を占めていた。21年7月から段階的に入国規制を緩和したものの、同年の外国人旅行者数は43万人にとどまり、経済回復が遅れている。

タイの1日当たりの新規感染者数は、変異型「オミクロン型」の広がりにより、足元で2万人前後で推移している。タイ政府はワクチン接種を完了していれば重症化のリスクは低いとして、規制緩和を続ける方針を取ってきた。ただ、死者数は連日100人を超え、増加傾向にある。

(日本経済新聞4月22日WEB版より転載)