タイ入国規制、7月にも撤廃

タイ政府が7月にも新型コロナウイルスの扱いをインフルエンザなどと同じエンデミック(一定期間で繰り返される流行)に変更し、入国規制の撤廃を目指している。ワクチンの追加接種率が人口の60%に達することなどを条件とする。外国人旅行客の受け入れを加速し、経済再建につなげたい考えだ。

3月18日にエンデミック移行に向けた行程表を承認した。追加接種率や入国者の陽性率に応じ、4段階で規制を緩和する。4月1日には出発国での渡航前のPCR検査を不要にした。エンデミックとみなす最終段階は追加接種率60%に加え、国内感染者の致死率が0.1%以下になることを条件とし、6月末までの達成を目標とした。

最終段階では現在導入している隔離免除制度の手続きを廃止し、ワクチン接種の有無にかかわらず入国を認める方針だ。マスク着用義務も感染リスクが高い場所を除いて撤廃する。

タイには感染拡大前の2019年に約4000万人の外国人旅行者が訪れ、観光関連産業は国内総生産(GDP)の約2割を占めていた。21年7月から段階的に外国人旅行者の受け入れを再開したが、同年の入国者数は約43万人にとどまった。

観光業界は3月に開いたイベントで「政府は国を前進させたいと思うなら直ちに入国制限を解除すべきだ」(ホテル・外食大手マイナー・インターナショナルのハイネキ会長)と訴えていた。

政府の行程表は業界の要望に応えた形だが、追加接種率は足元で3割台にとどまり、目標達成は不透明だ。重症化率が高い新しい変異型が発生すれば、見直しを迫られる可能性もある。

(日本経済新聞4月5日の記事より転載)