入国前の現地コロナ検査免除、9月7日から 岸田首相表明

岸田文雄首相は24日、新型コロナウイルスの水際対策について日本への入国・帰国時に求める海外での検査を9月7日から免除すると表明した。ワクチンの3回目接種を条件とする。感染者全員の情報を詳細に集める「全数把握」を見直し、医療の逼迫を防ぎつつ経済活動を正常に近づける。

首相公邸で記者団の質問にオンラインで答えた。水際対策について「主要7カ国(G7)並みの円滑な入国が可能となるよう内外の感染状況やニーズ、主要国の水際措置などを勘案し段階的に緩和を進める」と語った。

現在1日2万人とする入国者数の上限引き上げに関しては「検疫体制の整備を進めて速やかに公表する」と話した。同5万人に増やす案がある。

「全数把握」は医師が感染者の氏名や年齢などを記した「発生届」を保健所に提出し、保健所が入院や隔離の必要性を判断する。首相は足元の感染者数の高止まりを踏まえ、まずは緊急避難措置として各自治体の判断で変更を認めると強調した。

発生届の対象を高齢者や基礎疾患のある人に限ることを可能にすると説いた。報告の対象外とした感染者については自治体に人数のみを伝える想定だ。政府は基礎疾患のない若年層らを含め全ての感染者の数を把握できる体制は維持する。

感染状況を見極めながら、自治体の個別の判断ではなく全国一律での対応に切り替える見通しも示した。

新型コロナ感染者の隔離期間の短縮を早期に公表すると言明した。「新型コロナを過度に恐れず、属性の変化を踏まえてできる限り社会経済活動との両立を進める」と説明した。

首相は同日、首相公邸で新型コロナ対策の見直しについて加藤勝信厚生労働相や山際大志郎経済財政・再生相とリモートで協議し、対応を指示した。

日本経済新聞インターネット版8月24日記事より転載